台湾新幹線の車両入札で超高額提示 日立・東芝連合の強欲に高まる批判
2021年1月号公開
台湾新幹線の車両調達の競争入札で、日立・東芝連合が、開業時の二倍を上回る価格を提示し、対日感情悪化の要因になるとの懸念が広がっている。台湾新幹線は日本製車両とシステムを導入して開業したことから、新たな調達の入札に欧州勢が事実上参加できず「日立・東芝連合が、台湾の足元をみて高値をふっかけてきた」(関係者)との見方が出ているためだ。
価格提示を受け、台湾新幹線会社の最大株主にあたる林佳龍交通相が、JR東海の葛西敬之名誉会長に値下げを求める手紙を送った。開業時の日本製車両導入は李登輝元総統と葛西氏との個人的な関係が背景にあったとされる。
しかし、台湾では、東京電力福島第一原発事故に絡む五県産食品の輸入禁止が続いており、「日本産」に対するアレルギーがある。最大野党・国民党が、親日的な民進党政権を攻撃するため、台湾新幹線と五県産食品の輸入解禁問題で市民の対日感情悪化をあおる可能性が十分にあり、対日強硬姿勢を続ける中国にとって願ったりかなったりの事態を招く恐れもある。
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