三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

新大学評判記 第13話

京都大学 文科省「服従路線」で死ぬ学風

2021年1月号

 余りにも寂しい最後だった―。
 二〇二〇年九月三十日、京都大学総長だった山極壽一氏が、六年間の任期を終えて退任した。新型コロナウイルス感染防止を理由として記者会見は行わなかったが、湊長博・新総長は就任会見を実施しており整合性が取れない。山極氏は大学のホームページに所感を掲載しただけで、ひっそりとトップの座を降りたのだ。振り返れば一四年、山極氏は多くの期待を集めて総長に就任した。ゴリラ研究の第一人者として有名だった山極氏を総長に祀り上げたのは学内の「世論」だった。そして今、京都市左京区に位置するキャンパスには失望感だけが漂っている。
「京大らしさ」とは何か。昔から学生らの間で使われる「イカキョウ」という言葉がある。「いかにも京大生」の略語で、見た目も含めてステレオタイプなガリ勉タイプの学生を揶揄する際に使われる。そして一部の学生は「京大生らしい」と思われたくないと、高校時代には無縁だった最新ファッションに身を包むようになる。
 毎年三月の卒業式では、一部の卒業生が奇抜な仮装をして式場の最前列に陣取る。関西の民放ニュースなどでこれが放送されるのだが、これを見・・・