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経済

ENEOS「石油元売り独占」の野望

焦土作戦で狙う出光「吸収合併」

2021年1月号

 出光興産の先手に、石油業界の一部からは不審の声が上がる。
「なぜ東亜石なのか……」
 二〇二〇年十二月十五日、出光は五〇・一%出資する精製子会社の東亜石油(川崎市)にTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化すると発表した。東亜石は、出光が経営統合した昭和シェル石油傘下の製油所であり、重質油からガソリンや軽油を効率生産する分解装置を備える。完全子会社化を機に全国七カ所の製油所の統廃合を急ぐ構えだ。
 出光にTOBを決断させたのは、言うまでもなく新型コロナウイルスの蔓延。石油需要の減少に拍車がかかり、しかも、菅義偉政権は五〇年に温暖化ガス排出量を実質ゼロとする目標を掲げた。経済産業省は三〇年代半ばにガソリン車の新車販売を禁止する方針を打ち出している。石油業界は四〇年に需要半減を予想していたが、半減では済まず、あと二十年で業態転換を遂げなければならない。
 しかし、元売り最大手、ENEOSの動きは鈍い。和歌山製油所(有田市)、根岸製油所(横浜市)の廃止は長年の懸案だが、前者は自民党幹事長・二階俊博のお膝元、後者も首・・・

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