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経済

《クローズ・アップ》半沢 淳一(三菱UFJ銀行次期頭取)

「倍返し」とは無縁の東大エリート

2021年1月号

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の中核、三菱UFJ銀行の頭取に半沢淳一常務(五十五歳)が四月一日付で昇格することが決まった。
 これほど一般社会の耳目を集めた企業のトップ人事も希有だろう。しかも本人は銀行業界を除けば無名で、単なる“名字の妙”にすぎないが、世間は話題として放っておかなかった。
 TBSが昨年夏放映したドラマ『半沢直樹』人気による話題がベースだが、ドラマで描かれた銀行内部のブラックな権力闘争、政治との癒着による不正を主人公が快刀乱麻で解決していく姿を現実の三菱UFJ銀で半沢次期頭取に期待する空気がどこかにある。それほど世間が大銀行に向ける視線は厳しく、冷たい。
 半沢氏の行内での評判は「温厚で、堅実かつ地味」というものだ。一貫して企画部門を歩み、企画部長を務めた。歴代頭取のキャリアパスをそのまま進んでおり、一年間の名古屋の営業本部長が唯一の営業経験。債権保全、人事管理が必要な支店長など傷がつく恐れのある現場は未経験だ。傷を恐れず権力者に立ち向かい、左遷出向も経験、辞表も書いたドラマの半沢直樹とは似ても似・・・