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連載

西風 476

冷え込む京都の不動産市況

2021年1月号

 京都市内の老舗不動産会社経営者が、「地価は当分上がらないかもしれない」と嘆く。近年、京都の地価上昇を支えてきたのは、「宿泊施設バブル」というべき状態だった。ホテルではなく、わざわざ「宿泊施設」と表記したのは、簡易宿泊施設や、民泊向け物件への需要が大きかったからだ。しかし独自の「京都ルール」によって、民泊用の住宅取引に制限をかけた上に、新型コロナ禍が襲い、市況は冷え込み始めた。
 京都市内の旅館、ホテル、簡易宿所(民宿など)の数は、ここ数年うなぎのぼりで推移してきた。二〇一五年に五百三十二軒だった旅館とホテルの施設数は、二〇年十月末時点で六百七十二軒になった。そして簡易宿所は同期間に六百九十六軒から三千二百軒へと急増している。住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行されたのは一八年六月。同年度に届出が受理された市内の民泊事業者は五百二件に上った。しかし今年度(十月末時点)は受理件数が三十七件に留まる一方で、廃業届が百十五件も出されている。
 そもそも京都市では民泊施設に外国人が出入りすることを警戒する市民の声を受け、独自の条例を策定してこれを制限した。
 民・・・