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連載

広告を裏読みする 第25話

ナイキ「ネット動画炎上」の戦略勝ち

2021年1月号

 広告は、関係法令や倫理規範を遵守するとともに、人権を尊重し、公正な表現を行うものでなければならない―。
 電通、博報堂ら大手広告代理店はもちろん、中小業者も加わる一般社団法人「日本広告業協会」が掲げる広告倫理綱領の一節だ。商品のテレビCMでさえ、人権への配慮が必要なのは当然だ。
 古くは一九七〇年代、ハウス食品工業のインスタントラーメンのCMキャッチコピー、「わたし作る人、ぼく食べる人」がウーマンリブ団体から抗議を受けたことをご記憶だろうか。男女の役割を固定している点が問題となった。メーカー側としては女性を差別する意図など皆無だったが、結果からみるとハウス食品は抗議を受けてからCMの放送を終了させた。
 それから半世紀近くが経過した今、同じ内容のCMを流せば、一気にSNSなどで炎上することは必至だ。社会の人権意識の変化によって、CMの受け取られ方も変わっていく。

桁違いの「広告効果」

 単純に人権啓発をするテレビCMといえば、ACジャパン(旧公共広告機構)によるものが頭に浮かぶ・・・