中国の習近平主席にとって、二〇二一年は外では米国を追い抜き、覇権国家への道を前進するとともに、内では終身指導者の座を固める要の年となる。中国に立ちはだかったトランプ米大統領は去り、人権カードで中国に立ち向かう七十八歳の新大統領を習主席は難敵とはみていない。いち早く経済を回復させ、圧倒的な購買力、生産力で主要国をひざまずかせつつある中国はグローバル覇権の獲得の野望達成に迫る。習主席が今、恐れるのは中国の歴史で常に王朝の盛衰を左右してきた基層の民の声であり、極限まで膨脹させた経済、軍事、外交の“張り子”が弾け飛ぶことだろう。

重要素材・食料の自給自足に邁進

　巨大な工業地帯が海岸に沿って広がる天津市浜海新区。その中核となる天津南港に石油化学の基礎原料となるエチレンの巨大プラント新設の計画が昨年十二月、突然発表された。天津ですでに稼働しているサウジアラビアとの合弁エチレンセンターも能力増強を予定しており、同時に明かされた福建省、広東省、海南省などのプラント新設計画もまとめれば、中国のエチレ・・・