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連載

新大学評判記 第12話

大阪大学医学部 「イソジン騒動」で劣化を露呈

2020年12月号

「ウソのような本当の話」として、うがい薬「イソジン」に新型コロナウイルスを減少させる効果があると発表した吉村洋文大阪府知事と松井一郎大阪市長の会見は、全国でイソジンの買い占めと関連企業の株価暴騰を引き起こした後、一転して「予防薬でも治療薬でもない」と釈明するなどコロナ禍でのお騒がせ会見として知られる。
 この会見を仕掛けたのは、遠山正彌・大阪府立病院機構理事長と松山晃文・大阪はびきの医療センター次世代創薬創生センター長で、二人とも大阪大学医学部を卒業した医師である。関西医療界の名門阪大医学部。その現状はどうなっているのか。
 阪大医学部は、一八三八年に緒方洪庵が設立した適塾に始まる医育機関であり、多くの逸材を生み出してきた。新型コロナウイルスの重症肺炎治療薬として期待されているトシリズマブの開発に貢献した岸本忠三(一九六四年卒)、自然免疫による病原体認識システムを解明した審良静男(七七年卒)、がんゲノム研究の第一人者である中村祐輔(七七年卒)らは、何度もノーベル賞候補に挙がっている。また、日本最大の病院グループを一代で作り上げた徳田虎雄(六五年卒)も卒業生だ。{br・・・