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経済

アステラス製薬「独り負け」の無惨

危ぶまれる経営の先行き

2020年12月号

 アステラス製薬の二〇二〇年度上半期決算が減収減益となり、製薬業界で「独り負け」の状況に陥っている。特に国内市場が不振を極めており、今後、特許切れが追い打ちをかける。アステラスは新薬の売り上げ増に期待をかけているが、一寸先は闇だ。藤沢薬品工業(一八九四年創業)、山之内製薬(一九二三年創業)の伝統を引き継ぐ名門が瀬戸際に立たされている。
 今上半期の総売上高は六千百五十五億円(前年同期比五・四%減)、営業利益は八百六十九億円(同四六・四%減)だった。このうち、国内市場の売上高は一千四百四十二億円で、同二一・三%減だ。不振の原因は、英アストラゼネカが製造販売元の気管支喘息治療薬シムビコート、日本べーリンガーインゲルハイムが製造販売元の降圧剤ミカルディスの販売提携がそれぞれ終了したためだ。一九年度上半期のそれぞれの売上高は百四十一億円、九十六億円だったが、今期はゼロだ。さらに、一九年十一月に特許が切れた消炎鎮痛剤セレコックスは後発品が発売された影響を受け、今期の売上高は前年同期比四五%減の百四十二億円だ。今年六月には抗がん剤タルセバ、九月には抗真菌剤ファンガードの特許が相次いで切れ・・・