三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《地方金融の研究》第四北越銀行

新潟「寡占」に地元経済界の不安

2020年12月号

 戦後の新潟県金融史を彩る「二大エポック」(地元金融筋)の一つと呼ばれている。第四銀行と北越銀行の経営統合で二〇一八年十月に発足した金融持株会社、第四北越フィナンシャルグループ(FG)。その下で、二一年一月を期して行われる両行合併による第四北越銀行の誕生だ。
 何しろ帝国データバンクの調査によれば、第四銀は県内企業一万一千四百四十一社がメーン先とする県内トップバンク。そのシェアは三六%にものぼる。片や北越銀も六千四百六十一社がメーン先でシェア二〇%強。合計すれば貸出市場でのシェアは六割に迫る形となり、現時点で三位の大光銀行(シェア一一・五%)をおよそ五倍上回る圧倒的な存在となる。
「フィンテックが普及し、デジタライゼーションが加速する中、規模の大きさイコール強みにはならないとされているとはいえ、ここまで懸絶すると別。最早、太刀打ちする術がない。象の前のアリといったところだ」。大光銀関係者の一人はこう溜息をつく。
 新潟県はかねてオーバーバンキングが指摘されてきた。県内に本店を置く地域金融機関数は信用金庫や信用組合を合わせると一八年度末までで二十三を数え、東・・・