菅政権「脱炭素2050」の欺瞞
原発「新増設」への策動
2020年12月号
「バイデンの当選が決まる前に打ち出せてよかった」
二〇五〇年に実質ゼロ―。首相・菅義偉が十月二十六日、就任後初の所信表明演説で二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出削減目標を掲げたことに、首相官邸からは安堵の声が上がる。今年に入って国際社会はカーボンニュートラル、すなわち“CO2実質ゼロ”の表明が相次いでおり、EU(欧州連合)は五〇年とし、中国も六〇年と措定した。
主要国で時期を明示していないのは日本と米国だけだったが、米民主党の次期大統領バイデンは、共和党の現職トランプが離脱した温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を表明済みであり、自ら唱える四年間で二兆ドルの再生可能エネルギー投資を踏まえ、五〇年の目標を温めている。菅はバイデンに先を越される前に環境先進国への覚悟を打ち出し、面目を保てたわけだ。
おそらく来年十一月、英国グラスゴーで開かれる国連の第二十六回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)は、ビューティー・コンテストさながら、主要国が自前の温暖化対策の見栄えを競う場となるだろう。しかし、永田町にも霞が関にも三十・・・
二〇五〇年に実質ゼロ―。首相・菅義偉が十月二十六日、就任後初の所信表明演説で二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの排出削減目標を掲げたことに、首相官邸からは安堵の声が上がる。今年に入って国際社会はカーボンニュートラル、すなわち“CO2実質ゼロ”の表明が相次いでおり、EU(欧州連合)は五〇年とし、中国も六〇年と措定した。
主要国で時期を明示していないのは日本と米国だけだったが、米民主党の次期大統領バイデンは、共和党の現職トランプが離脱した温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を表明済みであり、自ら唱える四年間で二兆ドルの再生可能エネルギー投資を踏まえ、五〇年の目標を温めている。菅はバイデンに先を越される前に環境先進国への覚悟を打ち出し、面目を保てたわけだ。
おそらく来年十一月、英国グラスゴーで開かれる国連の第二十六回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)は、ビューティー・コンテストさながら、主要国が自前の温暖化対策の見栄えを競う場となるだろう。しかし、永田町にも霞が関にも三十・・・