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バイデンを手玉に取る習近平

偽りの「米中融和」に要警戒

2020年12月号

 中国の習近平国家主席は十一月二十日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳テレビ会議に出席した際に、日本など十一カ国が参加する環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)について「加盟を積極的に検討する」と初めて表明し、国際社会を驚かせた。
 TPPはそもそも米国のオバマ政権が提出した構想で、アジア太平洋地域で米国が主導する自由貿易圏を形成することが目的だ。同時に、中国を封じ込める狙いもあった。トランプ政権が離脱して以降、日本が主導するようになったが、台湾を受け入れることに積極的な姿勢を示すなど、中国の加盟をあまり想定していなかった。
 中国は、関税の自由化率や知的財産権などの分野で要求水準の高いTPPへの加盟に消極的だった。TPPに対抗する形で、「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定」を主導し、同月十五日に発足させたばかりだった。
 中国が突然、TPP参加に意欲を示し、これまでの態度を豹変させた理由について、北京の外交関係者は、「バイデン政権対策だ」と説明した。一国主義のトランプ氏と違って、バイデン氏は、国際社会との協調を重視し、トランプ氏が離・・・