《世界のキーパーソン》マイア・サンドゥ(モルドバ大統領選の野党候補)
ルーマニアとの「国家統合」を目指す
2020年11月号
近隣諸国のあちこちで爆弾がさく裂し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がてんてこ舞いだ。もっとあるぞ、とばかりに旧ソ連のモルドバで、時限爆弾のタイマーが音を刻み始めた。
十一月一日、人口二百六十万人あまりの小国で、大統領選が行われる。ロシアに忠実な現職イゴル・ドドンが、親欧州派の対立候補、マイア・サンドゥに苦戦している。前回の二〇一六年も同じ顔合わせで、ドドンは第二回投票で辛勝。この時にはサンドゥ支持派が「選挙結果が改ざんされた」と街頭で抗議デモを繰り返した。
ロシア政府の警戒ぶりは並外れている。大統領府内に非公式の「モルドバ対策本部」を作り、スパイ機関「連邦保安庁(FSB)」の工作員を多数現地に送り込んだ。ロシア工作員や選挙専門家は、ドドンの選挙運動やスピーチ草稿作りも手伝っているという。
なぜそんなことが分かるのかというと、欧州各地にいるプーチン反対勢力が、調査員を現地に派遣し、モルドバ野党勢力とともに、ドドンとロシア側の動きを監視しているからだ。中でも、プーチン政権下で八年もシベリア流刑にされた元実業家、ミハイル・ホドルコフスキー(現英国在・・・
十一月一日、人口二百六十万人あまりの小国で、大統領選が行われる。ロシアに忠実な現職イゴル・ドドンが、親欧州派の対立候補、マイア・サンドゥに苦戦している。前回の二〇一六年も同じ顔合わせで、ドドンは第二回投票で辛勝。この時にはサンドゥ支持派が「選挙結果が改ざんされた」と街頭で抗議デモを繰り返した。
ロシア政府の警戒ぶりは並外れている。大統領府内に非公式の「モルドバ対策本部」を作り、スパイ機関「連邦保安庁(FSB)」の工作員を多数現地に送り込んだ。ロシア工作員や選挙専門家は、ドドンの選挙運動やスピーチ草稿作りも手伝っているという。
なぜそんなことが分かるのかというと、欧州各地にいるプーチン反対勢力が、調査員を現地に派遣し、モルドバ野党勢力とともに、ドドンとロシア側の動きを監視しているからだ。中でも、プーチン政権下で八年もシベリア流刑にされた元実業家、ミハイル・ホドルコフスキー(現英国在・・・