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政治

《罪深きはこの官僚》山﨑重孝(内閣府事務次官)

日本学術会議「六人排除」の下手人

2020年11月号

 警察官僚が権力の中枢を独占するとどうなるか―。菅義偉政権発足とほぼ同時に起きた日本学術会議会員の人事問題は、その象徴例と言えるだろう。
 任命拒否された六人は、いずれも安保法制や共謀罪に異議を唱える大学教授。彼らリベラル系学者に敵愾心を抱いてきたのが、安倍晋三政権から続いて在任丸八年を迎える官房副長官・杉田和博である。実際、杉田は二〇一三年八月、集団的自衛権に否定的だった内閣法制局長官の山本庸幸を、最高裁判所判事へ栄転させて口封じし、後任に外務省保守派の駐フランス大使・小松一郎を抜擢、安保法制の下地をつくった立役者だ。
 霞が関は当時、その人事に唸った。警察庁警備局長、内閣情報官を歴任した元公安トップらしい老獪さだ―と。今回の任命拒否も杉田の差し金とみられている。
「いや、六人を学術会議の名簿から外したのは内閣府の山﨑だ。官房副長官へ忠誠心を示したつもりだろうが、図らずも菅政権の地金を露呈することになった」
 山﨑重孝―。自民党周辺でこう囁かれる内閣府事務次官こそ、任命拒否の陰の下手人なのだ。実は山﨑をめぐっては同時期、独善的な人事がもう一件起・・・