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ロシアに迫る第二の「帝国崩壊」

プーチン体制「老衰」が鮮明に

2020年11月号

 ロシアのプーチン大統領が「二十世紀最大の地政学的悲劇」と嘆いたソ連邦崩壊から来年で三十年。旧ソ連圏では、第二のロシア勢力圏縮小という新たな地政学的変化が始まった。今夏以降、ロシアの周辺地帯で続く武力紛争や政変、反政府デモは、ロシアの無力を示しており、ロシア主導で維持されてきた秩序が崩れつつある。中国、トルコの新興勢力がこの空白に進出し、ロシアの盟主失墜が顕著だ。
 一九九一年十二月のソ連崩壊で十五の構成共和国が一斉に独立した後、旧ソ連地域では内政不干渉、領土保全、国際法尊重の原則が九〇年代を通じて維持された。経済、社会混乱の只中にあったエリツィン時代のロシアは、周辺国に干渉する意思も能力もなかった。
 ところが、二〇〇〇年に誕生したプーチン政権は、原油価格高騰に伴う経済成長を受けて軍事力増強など大国路線を推進。旧ソ連の盟主として周辺諸国の内政に公然と介入した。ロシア政府が〇八年に発表した「外交五原則」は、「近い外国」と称する旧ソ連地域を「特権的利害地域」に指定した。同年のジョージア(グルジア)戦争や一四年のウクライナ領クリミア併合は影響圏拡張路線の一環であり、ロシ・・・