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WORLD

欧州がかくもコロナに脆い理由

市民社会の「幼児化」が背景

2020年11月号

 新型コロナウイルスの世界的拡大で、欧州連合(EU)の民主主義国の苦境が際立っている。
 中央政府と地方自治体が対立して、感染対策が宙に浮くといった民主制度の問題や、規制がなければ「何でもあり」といった無責任な行動まで、欧州民主主義の弱点を曝け出す例が相次いでいる。科学者や知識層の間からは、「なぜ東アジアとこれほど差をつけられるのか」との疑問が出始めた。
 最初に感染者数の規模を知ってもらおう。
 日本国内の感染者の累計は十月下旬、約九万七千人で十万人に迫った。一方、EU二十七カ国と英国、さらにリヒテンシュタインなどミニ国家群を合わせると、累計は八百万人超である。
 十月二十四日までの直近二週間では、感染者数は二百十万人を超えていた。日本と似たような規模の国家群で見ると、直近二週間でフランス三十五万人超、英国二十五万人超。連日、各国で一万~四万人超の新規感染者が出ている。西欧諸国が、特大の「第二波」に襲われていることが分かる。

地方自治体が対策をボイコット

 ところが、・・・