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経済

北尾SBIと菅首相の「深い仲」

加速する「地銀再編」の行方

2020年10月号

 安倍晋三氏が退陣を発表する数日前の八月最終週のある日、菅義偉氏は親しい人に「地銀再編は北尾さんが頑張ってくれますから」と打ち明けていた。そして、菅氏が自民党総裁選に勝利したその三週間後、「北尾さん」たるSBIホールディングスの総帥、北尾吉孝氏は、菅氏が唱えた政治ビジョンと平仄を合わせたような言動を放っていた。菅氏が国際金融センター構想を打ち上げるや、北尾氏は「香港からの撤退」と「関西への国際金融センター誘致」を明言。菅氏が「地銀の数は多すぎる」と地銀再編を唱えるや、それに呼応して「資本提携する地銀は五、六行ある」とマスコミに言い放った。
 地銀再編を打ち出した菅氏。金融業界では、菅氏を焚きつけたのは森信親元金融庁長官と北尾氏だと囁かれる。森氏は金融庁長官時代に地銀再編の必要性を論じ、北尾氏は島根銀行、福島銀行など経営悪化が根強く噂されてきた地銀との資本提携を積極化させている。
 国際金融センター構想を巡って、北尾氏がいち早く香港からの撤退方針まで打ち出したのは、自身が菅氏と密接であるということを印象付けるのが狙い。加えて、北尾氏が国際金融センターの誘致先として明言・・・