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経済

日産は「血税」で支援すべきか

「菅銘柄」に経産省と官邸の忖度

2020年10月号

 木を隠すなら森の中―。まさしく俚諺通りの老獪さである。九月七日、朝日新聞の朝刊一面にモラルハザードを警告する大見出しが躍っていた。
〈日産の融資に政府保証1300億円 政投銀 返済滞れば8割国負担〉
 政府系金融機関の日本政策投資銀行が五月、日産自動車に融資した一千八百億円のうち、一千三百億円に政府保証(損害担保契約)がついていたことが発覚したのだ。国民経済を支えるインフラ企業ならともかく、一製造業、それも自己責任の大企業への融資に、焦げ付けば国民負担となる政府保証がつくのは極めて異例だ。
 しかし、日産は政府保証を「承知していない」と言い張り、政投銀は「個別案件は答えられない」と木で鼻をくくる。麻生太郎財務相に至っては「政府が融資判断に関与することはない」と突き放した。いったい誰が国民負担のリスクを判断したのか―。それは不明ながら、聞こえてくるのは「膨大な下請け企業を抱える日産は万一の場合、影響が甚大であるため危機対応融資に踏み切った」という大義名分である。
「危機対応融資」とは、深刻な経済異変や自然災害が発生した際、政府が商工組合中央金庫、・・・