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経済

「MBO成就」は孫正義か三木谷か

楽天「非上場化」の方に現実味

2020年10月号

 ソフトバンクグループ(SBG)が経営陣による買収、つまりMBOで非上場化を目指すという観測が高まっている。孫正義会長兼社長が、英半導体設計会社のアームを四兆円以上で売却すると決め、巨額資金が手元に転がり込むからだ。株式市場からなかなか思うような評価を得られず「実力が株価に反映されていない」とストレスをためている孫正義は、株主から何かと不平不満を言われなくてもすむように、これまでにも何度かMBOを画策してきたと言われている。アーム売却で巨額資金を得た孫正義が、再びMBOに向かって突き進むという見立てが国内外で広がっている。
 だが目ざとい一部の金融機関は、もう一つの大型MBO案件に狙いを定めて蠢き始めたようだ。彼らが「SBGよりもじつはMBOの可能性が高いかもしれない」(米系投資銀行幹部)と期待するのが楽天。楽天を率いるのは言わずと知れた三木谷浩史会長兼社長だ。「孫さん以上に他人から何かを言われるのが我慢ならない人」(楽天関係者)と言われる三木谷も、株主との付き合い方にうんざりしているとされる。

三木谷にもMBO画策の「前科」・・・