トヨタ章男が捏造する「創業家伝説」
同族支配「正統化」の醜い手法
2020年10月号
豊田章男社長がついにトヨタ自動車社史の「修正」に乗り出した。しかも、取り巻きたちではなく、社長自らが直々に進めているという。章男社長自身の実績でなければ、豊田家の遺産でもない「トヨタ生産方式(TPS)」を換骨奪胎して「同族支配」の新たな看板として掲げようとしているのだ。「舞台」となったのは、二〇二〇年度に始まった「トヨタ生産方式」を改めて学ぶための社内研修会。そのキックオフ会合に章男社長が講師として登壇した。自社の情報発信サイト「トヨタイムズ」が八月二十六日に公開した「“トヨタ生産方式” 豊田章男の解釈」によると「母さんが夜なべして……」のお涙頂戴物語を並べ立て、合理的な生産技術であるトヨタ生産方式を方向違いの「精神論」に置き換えたのである。
トヨタ生産方式といえば同社の競争力の根源とされ、社内だけでなく改善活動の「バイブル」として世界中で利用されている。「トヨタの社長がトヨタ生産方式を社員に教えるのは当然だろう」と思うかもしれない。が、ことはそれほど単純ではないという。実はトヨタは、ほんの数年前までトヨタ生産方式につい・・・
トヨタ生産方式といえば同社の競争力の根源とされ、社内だけでなく改善活動の「バイブル」として世界中で利用されている。「トヨタの社長がトヨタ生産方式を社員に教えるのは当然だろう」と思うかもしれない。が、ことはそれほど単純ではないという。実はトヨタは、ほんの数年前までトヨタ生産方式につい・・・