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連載

広告を裏読みする 第22話

「政治色」を忌避されるCM出演者

2020年10月号

「ネット広告が拡大しているとはいえ、いまだにテレビCMの重要性は変わらない」
 大手広告代理店「電通」の幹部はこう語る。昨年、ネット広告費が年間で二兆円を突破(「二〇一九年日本の広告費」より)し、テレビの広告費(約一兆八千六百億円)を上回った。しかし代理店にとってみれば、テレビCMでいまだに二〇%というマージンを稼げる一方で、ネット広告では時に手数料収入が一〇%を下回ることさえある。しかも、テレビCMは放送局に流してもらうだけで手間がほとんどかからないことを考えても、儲けが大きい。前出の電通幹部が続ける。
「クライアント(広告主)にとっても、より広く商品や企業をアピールする手段としてテレビの重要性は変わっていない。ネット企業が多くのテレビCMを流していることがそのことを端的に示す」
 代理店が主導するテレビCM重視の姿勢により、主演者にも多額のギャラが支払われることになる。クライアントにとっても「誰を」「どうやって」使うかというのが、CMの成否をわける大きなポイントになる。そして、CM出演タレントの醜聞が発覚するリスクなどを常に抱えるのだ。
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