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タイ国王「悪評」を伝えぬ日本メディア

過剰な「報道自粛」の実情

2020年10月号

 微笑みの国として知られるタイで国がまた揺れている。
 二〇一四年の軍事クーデターからタイを率いる元軍司令官のプラユット首相が、軍の力を背景に強権的な姿勢を取っているとして、一九年十二月から抗議デモが本格化。今年六月には若者中心のデモ隊が議会解散と憲法改正、反体制派への強行措置をやめるよう要求した。さらに八月からは抗議デモが過去最大級となり、現政権を追認しているとして、これまでタブーだった国王批判と王制改革を求める声も高まっている。
 タイには世界でも最も厳しいと言われる不敬罪が存在し、国王を批判することは重大な犯罪でタブーとされてきた。タイの憲法には、「国王は崇拝される地位につき、それは侵害されてはならない。何人たりとも国王に対してどんな非難も行動もしてはならない」と記されている。刑法でも「国王や王妃、後継者や摂政を中傷したり、侮辱したり、脅迫したりする」ことは一件の違反につき最大で十五年の禁錮刑が科されると定められている。
 国王批判に対する厳しい姿勢はメディアに対しても向けられる。国内メディアは萎縮し、国王に関して思うように事実を報道できないのがタイ・・・