三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

欧州で「極右メディア」が大盛況

コロナが助長「憎悪扇動」の横行

2020年10月号

 ヨーロッパで極右メディアが影響力を強めている。各国政府や大手メディアが新型コロナウイルス対策を求める中、「メディアは嘘つきだ」と攻撃している。
 極右メディアは、人種差別問題などで発言する女性政治家や活動家に、個人攻撃を加えるものも多い。既存メディアが存在感を減らす中、「ニュース・サイト」と称して極右論調を広めている。
 ドイツで極右メディアの標的になるのは、単純な目安がある。親が外国生まれ、左派の価値観、そして女性である。
 四十五歳のお笑いタレント、イディル・バイダル氏はそのすべてに当てはまり、極右の「憎まれ者ナンバー1」になった。
 彼女の両親はトルコ人移民労働者。幼い時に両親が離婚し、母親に育てられた。キャバレーの寄席で、自分のルーツも笑いのネタにして人気者になり、近年はテレビのバラエティー番組のレギュラーとして定着した。
 人気が上がるにつれ、極右系雑誌やSNSの「ニュース・サイト」で攻撃を受けるようになり、今年夏には私宅に「殺してやる」「レイプする」との脅迫状を送られた。
 ところが、一般公表していない個人情報が・・・