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経済

東レの出口なき「業績絶不調」

日覺社長「在任十年」の罪と罰

2020年9月号

 七月三十一日に開かれた東芝の定時株主総会で、車谷暢昭社長兼CEOが辛くも解任を免れた要因の一つに、議決権行使助言会社であるグラス・ルイスが、現経営陣へ賛成票を投じる推奨を表明したことが挙げられる。昨年そのグラス・ルイスが逆に、経営陣の選任に反対推奨した年間売上高二兆円超えの大手企業がある。東レだ。
 昨年までの東レは二十四名の役員のうち、社外役員は、日本企業のROE(自己資本利益率)目標八%超を提唱した、いわゆる「伊藤レポート」の生みの親である伊藤邦雄一橋大学名誉教授とノーベル化学賞受賞者である野依良治氏の二名のみ。東洋経済オンラインが集計した主要上場企業の中で社外役員の比率が低い企業ランキングで、第七位という不名誉まで授かっている。これを背景にグラス・ルイスは取締役選任に反対推奨し、一部の取締役候補の賛成比率は八五%程度と、東証一部上場企業の平均約九五%を大きく下回った。
 日経ビジネスのインタビューで「一番嫌いなのは、『外部の目』とか『第三者で』という言葉」と語っていた日覺昭廣社長はこの結果に気を悪くし、二名の社外取締役の増員を決意。今年の定時株主総会で他の取・・・