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連載

日本の科学アラカルト 121

大雨被害を最小限に抑える「水害予測」への挑戦

2020年9月号

 七月いっぱい梅雨が長引き気温が低かったのが嘘のように、八月に入り三十五℃以上の猛暑日が続いた。忘れている人も多いだろうが、昨年も七月の気温は低かったが、八月になって記録的な猛暑となった。似たような気候になっているのだが、そうすると不安がよぎる。昨年は九月、十月と相次いで台風が接近・上陸し千葉県をはじめとする東日本の各地で甚大な被害が出た。特に十月に相次いで上陸した台風十九号、二十一号では広範囲で大雨による洪水が発生し、百人を超える死者、行方不明者を出したことは記憶に新しい。
 七月には九州地方で大雨による大きな被害が発生した。日本の近年の豪雨災害の発生頻度は明らかに上昇しており、日ごろから雨への備えが必要である。水害に関して言えば第一に自治体などが発表しているハザードマップを確認することが重要だが、雨による被害を予測する技術についての研究も続けられている。
 水害といえば台風や、梅雨時の線状降水帯などだが、近年増大するいわゆる「ゲリラ豪雨」による被害も無視できない。極めて短時間に大量の雨が降るが、発生場所などの予測が難しいことが知られている。理化学研究所(理研)と・・・