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連載

西風 472

観光都市「京都」の痩せ我慢

2020年9月号

 京都人は本心が見えにくい。時に「底意地が悪い」ととられることもあるが、本音をあけすけにしないという一種の美徳である。門川大作・京都市長も、目の前で壊滅的な状況に陥っている観光業について、はっきりとモノを言わない。GoToキャンペーンの実施が議論の的になっていた七月中旬でさえ、「実施に反対しない」という消極的な賛成を表明するにとどまっていた。地元紙記者が語る。
「昨秋から今年二月の京都市長選にかけて、門川市長は観光公害対策をひとつの公約に掲げた。その手前、『観光に来てくれ』とは言えず痩せ我慢しているようなもの」
 昨年十一月の市長会見で、門川氏は「京都は観光のために作られた都市ではございません」と語っている。遷都が行われた一千数百年前に観光を目的としていないことは当然である。しかし現在の京都が観光客、とりわけ近年は外国人観光客の恩恵を受けてきたことは動かし難い事実だ。
「現職ながら、再選が確実ではなかった門川市長は外国人観光客のマナー問題などを攻撃することで浮動票を手に入れたかった」
 前出記者はこう解説する。観光業界周辺の多少の反発はあっても業・・・