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中東勢力図に新たな「分断線」

イスラエル=UAE「枢軸」のその先

2020年9月号

 イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交樹立で、中東から北アフリカ一帯の勢力図が大きく塗り替わることになった。これによって最も大きな影響を被るのは、トルコとイランという、中東における「非アラブ」の二大国だ。
 新連合は、北大西洋条約機構(NATO)諸国が争うリビア内戦、東地中海の海底資源争奪戦などでも、協力する情勢である。米国のドナルド・トランプ大統領の任期切れをにらんだ「外交クーデター」は、イスラエル=米国=湾岸産油国という、強力な枢軸に発展する気配を見せている。

国交樹立実現の三つのチャンネル

 イスラエルがアラブの国と国交を結ぶのは、エジプト、ヨルダンに続いて、建国七十年以上でこれが三国目。それぞれドラマがあるが、今回のUAEもかなりの助走が必要だった。
 チャンネルは三つあった。
 米国の首都ワシントンでは、UAEの名族オタイバ家出身のユセフ・オタイバ駐米大使が、訪米するイスラエル政府高官を非公式かつ非定期に迎える、というルートがあった。バラク・オバマ大統領時代の二・・・