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WORLD

欧州旧共産圏で広がる「人口空洞化」

人材・働き手が消える衰亡の危機

2020年9月号

 旧ソ連の小国ベラルーシが今夏、「ヨーロッパ最後の独裁国家」として注目を集めた。これだけ長く旧体制が続いたのも、人口減で空洞化が進んだためだ。しかも、問題はこの国だけでなく東ヨーロッパ一円に拡大中である。かつて「鉄のカーテン」が引かれていた地域は今、世界一の人口減少地帯として衰亡に向かっている。

ベラルーシの独裁が続く理由

 喜劇映画から飛び出したような独裁者、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は「アクション」が好きだ。カラシニコフ銃を手にしたり、軍部隊を閲兵したり、工場で演説したりと、国営テレビは常に大統領を追いかける。
 カメラが図らずも映し出すのは、ベラルーシの空っぽぶりだ。大統領がヘリコプターから国を視察した時には、地上にはほとんど人影がなかった。首都中心部を少し外れると、無人地帯や廃村が広がる。
 ベラルーシの公式統計では同国人口は九百四十万人ほどである。かつては一千万人を超えていたが、今は四十年前とほぼ同じ水準だ。
 首都ミンスクで取材したポーランド人記者は、「実際に・・・