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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》 コロナ「関連死」

「感染以外」の死者数が増加中

2020年8月号

 新型コロナウイルスによる死者数が欧米と比べて少なかったのは「日本モデル」の勝利―。首相官邸が振りまく幻想を信じ込む者は少なくない。
 確かにウイルス感染による死者は少なかったかもしれないが、新型コロナの恐ろしさは、感染だけではない。生活様式の劇的変化が、人々の健康に様々な悪影響を及ぼし、死に至るケースが多いのだ。
 東京都内の三~五月の死者数は三万百十七人で、直近五年間の平均より一千六百三十五人も増えた。この「超過死亡」の傾向は、日本全国で見られるほか、世界的にも同様の現象が起きている。コロナ感染による死者も含まれるが、心臓病やがん、糖尿病などの生活習慣病による死者も増えているのだ。しかし、政府はこの事実を知りながら放置している。超過死亡の原因が、政府の推奨する「ステイホーム」と「テレワーク」に由来するものが少なくないからだ。
 この時期の死因は例年、インフルエンザが多く、国立感染症研究所の推計によると、インフルエンザによる死亡は全国で年間一万人超、東京都なら一千人以上だ。しかし、今シーズンの感染者数は、前シーズンの二〇一八~一九年の三割程度にとどまった・・・