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「米中争覇」苦渋の日本

米国が軍事・経済で求める「重責」

2020年8月号特別リポート

 米国と中国の新冷戦が深まる中で、日本が米国の「切り札」として浮上している。経済的にも軍事的にも、日米の統合を進めて、中国の世界進出を食い止めようという構想で、東西冷戦時代の西欧よりも大きな貢献が期待されている。
 河野太郎防衛相が「イージス・アショア」計画の停止を発表したのも、米国側がより攻撃的な態勢作りを目指すからにほかならない。米国防総省は日本を足場に、中国との「ミサイル・ギャップ」を早急に埋める意向を表明している。
 だが、日本が米中のミサイル軍拡の最前線になるシナリオは、議論さえされていない。安倍晋三首相は、激変するアジアの安全保障情況を早急に説明し、新時代への準備を求めなければならない。

巡航ミサイルの「沖縄」配備

 マーク・エスパー国防長官は、ワシントンでは「影が薄い」と評判だ。ドナルド・トランプ大統領の後ろに立ち、黙って聞いている。
 ついたあだ名は、「イエスパー(Yesper)」。シリアからの米軍撤退など重要な国防案件でも、大統領に面と向かって反対しない。{br・・・