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連載

新大学評判記 第8話

東京都立大学 沈みゆく「公立大」の象徴

2020年8月号

 新型コロナウイルス感染拡大の最中の今年四月、首都大学東京は大学名を東京都立大学に「変更」した。首都大学東京は二〇〇五年に都立大学、東京都立科学技術大学、東京都立保健科学大学、東京都立短期大学の都の経営する四校を統合して発足した。四校の中では都立大が圧倒的に知名度が高いため、名称変更は「都立大」への〝先祖返り”と都立大OBが歓迎、世間もそうみている。
 だが、大学側は先祖返り説を頑なに否定。「首都大学ではブランド力がなく、学生も就職先も質の低下が目立ったため、都立大に戻した」と解説するメディアに反発してみせた。
 大学の名称変更は最近、地方の公立大学では頻発しているが、公立大学の代表たるべき東京都の大学が鳴り物入りの新大学への衣替えからわずか十五年で旧名称に戻す混乱ぶりは異常と言うしかない。背景には首都大学をつくった石原慎太郎元都知事と大学側の遺恨がある。首都大学発足にあたっては、都立大などと東京都の事務方が長年練ってきた改革案、再編案を元都知事がちゃぶ台返ししたうえに、彼の独断専行で学部、組織を決定、名称も元都知事の意向で一方的に決められてしまった。{・・・