《クローズ・アップ》岩本絹子(東京女子医科大学理事長)
「看護師反乱」経営危機が再燃
2020年8月号
東京女子医科大学(以下女子医大)で、夏のボーナス不払いに不満を抱いた看護師の集団退職騒動が起きている。最終的には独立行政法人福祉医療機構から資金を調達し、支払うこととなった。この話を聞いた関係者は「女子医大の終焉が一歩近づいた」と語る。
女子医大の経営難は医療界では公知の事実だ。二〇一七年六月には、吉岡俊正理事長(当時)が、教職員あてに「平成二十八年度の収支差額は二十二億円の赤字で三年連続の赤字となりました」「これ以上、医療収入が減少しますと、法人存続にかかわる危機的な事態になります」との文書を送った。
経営難のきっかけは一四年二月、二歳児にプロポフォールという鎮静剤を大量投与し、死亡させた医療事故だ。この薬剤は、人工呼吸中の小児への使用は禁じられていたが、その後の調査で十五歳未満の患者六十三人に投与されていたことがわかった。この問題をきっかけに、理事長と学長の内部対立が表面化。有名医師も流出し、女子医大の経営は加速度的に悪化した。厚生労働省は特定機能病院の承認を取り消した。
この状況を救ったのが、現在理事長を務める岩本絹子だ。岩本は一九七三年女子・・・
女子医大の経営難は医療界では公知の事実だ。二〇一七年六月には、吉岡俊正理事長(当時)が、教職員あてに「平成二十八年度の収支差額は二十二億円の赤字で三年連続の赤字となりました」「これ以上、医療収入が減少しますと、法人存続にかかわる危機的な事態になります」との文書を送った。
経営難のきっかけは一四年二月、二歳児にプロポフォールという鎮静剤を大量投与し、死亡させた医療事故だ。この薬剤は、人工呼吸中の小児への使用は禁じられていたが、その後の調査で十五歳未満の患者六十三人に投与されていたことがわかった。この問題をきっかけに、理事長と学長の内部対立が表面化。有名医師も流出し、女子医大の経営は加速度的に悪化した。厚生労働省は特定機能病院の承認を取り消した。
この状況を救ったのが、現在理事長を務める岩本絹子だ。岩本は一九七三年女子・・・