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経済

経産省「石炭火力休廃止」の真意

狙うは「原発推進」と電力再編

2020年8月号


 安倍晋三首相は来年九月末までの任期を全うできるのか―。政権末期になってようやく、後ろ向きだったエネルギー政策、温暖化対策の議論の封印を解いた。七月三日、経済産業省の梶山弘志大臣が打ち出した、低効率な石炭火力発電所の休廃止がそれだ。電気事業連合会には緊張が走る。
「いよいよ来たな。石油の次は電力と覚悟はしていたが……」
 石油業界が製油所廃止を促す原油精製の効率化規制によって、ENEOSと出光興産の二大元売りに事実上集約されたことは周知の通り。電力十社も二酸化炭素(CO2)を大量排出する低効率石炭火力の比率次第で再編圧力を受けることは避けられない。
 休廃止規制の詳細は審議会の議論に委ねられるが、最新の超々臨界圧発電の熱効率四三%に満たない石炭火力、すなわち超臨界圧、亜臨界圧の旧式設備が対象となる。その比率が最も高いのは北海道電力と沖縄電力。しかし、二社は本州など他の八社との系統連系が脆弱または断絶しているため、特例措置が取られる見通しだ。
 苦境に陥るのは北陸電力と中国電力である。旧式設備の発電出力は前者・・・