三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

東大発「ベンチャー企業」の光と影

学生起業家のイマドキ「金儲け術」

2020年8月号

 東京大学発のベンチャーが花盛りだ。ブロックチェーンの関連事業などを手がける東証二部上場のビート・ホールディングス・リミテッドが七月九日、仮想通貨メディア事業の株式会社CoinOtakuを買収したが、CoinOtakuの代表取締役の木田陽介氏と、創業者で四七・九%の株式を保有していた下山明彦氏は現役の東大生。会社設立は二〇一七年十月だ。下山氏は同社のほか、Senjinホールディングスという会社を興し、別の仮想通貨メディア事業や、ネット広告代理店事業を展開している。多数の現役東大生が所属することをウリの一つとし、本社も東大のキャンパスから近い文京区湯島にある。生粋の東大発ベンチャーだ。
 東大発ベンチャーと言えば、ミドリムシを原料とするバイオ燃料の開発に取り組み一二年に東証マザーズに上場(一四年十二月に東証一部に変更)したユーグレナや、AI開発のベンチャーとして一七年に東証マザーズに上場し一千億円以上の時価総額を付けたいわゆる「ユニコーン」企業のパークシャテクノロジー社が有名だ。パークシャは、東京大学大学院工学系研究科の松尾豊教授(当時は准教授)の研究室の卒業生らが立ち上げたベ・・・