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経済

三菱UFJ 「平野帝国」が 完成目前

メガ銀「首位陥落」の醜い舞台裏

2020年8月号

「災いの招き猫」。行内ではこう疎まれ、怨嗟の的になっているらしい。三菱UFJ銀行(MUBK)頭取兼三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)副会長で、今年四月からは全国銀行協会会長もつとめる三毛兼承氏のことだ。
 古くから「オスの三毛猫を船に乗せると福を呼び、船が遭難しない」と言い伝えられたことから、縁起物とされる「招き猫」の置き物はほとんどが三毛猫。日本の第一次南極観測隊にも三毛猫を連れて行き、隊員らとともに昭和基地で越冬したといった逸話まである。それなのに「ウチの三毛猫は福どころか禍を招き寄せている」(グループ関係者)というわけだ。
 確かに三毛氏が二〇一七年六月にトップに就任して以降、グループには「ロクなことがない」(MUBK幹部)。なかでも「最大の汚点」(旧東京三菱銀行OB幹部)とされているのが二〇年三月期における「屈辱の決算」(同前)だ。連結純利益の水準で三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)に逆転を許し、発足以来堅持してきた3メガバンク首位の座から陥落するハメになったからだ。
 その主因となったのが一九年四月にMUBKが子会社化したイン・・・

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