米「疾病予防管理センター」の実像
「世界最強」が看板倒れの機能不全
2020年8月号
新型コロナウイルスの感染が止まらない米国で、感染症に対応する「疾病予防管理センター(CDC=本部アトランタ)」に、専門家の間から厳しい批判が集まっている。米国の失敗はドナルド・トランプ大統領の無策が最大の原因だが、「世界最強」であるCDCが、本来の専門分野で致命的なミスを重ねていることも見逃せない。
CDCの混迷ぶりは七月十四日、全米の保健・医療担当者すべてが目にすることになった。
この朝、CDCのホームページから、新型コロナ関連の最新情報欄「ダッシュボード」が消えていた。懸命に検索しても、ページが見当たらない。
保健福祉省のブレット・ジロワー次官補(保健担当)は、ワシントンの記者団に「私は毎日、朝一番にダッシュボードを見る。それが消えてしまった」と嘆いた。次官補は、米軍の海軍大将で医学者・生物学者でもある。「現政権では珍しい本物のプロ」(米紙科学部記者)と、記者団から信頼を集めている。後述するように、情報欄削除は同省の仕業なのだが、次官補は事情を知らなかった。
ホワイトハウスの指令により、この日から新型コロナ情報はCDCではなく、保健・・・
CDCの混迷ぶりは七月十四日、全米の保健・医療担当者すべてが目にすることになった。
この朝、CDCのホームページから、新型コロナ関連の最新情報欄「ダッシュボード」が消えていた。懸命に検索しても、ページが見当たらない。
保健福祉省のブレット・ジロワー次官補(保健担当)は、ワシントンの記者団に「私は毎日、朝一番にダッシュボードを見る。それが消えてしまった」と嘆いた。次官補は、米軍の海軍大将で医学者・生物学者でもある。「現政権では珍しい本物のプロ」(米紙科学部記者)と、記者団から信頼を集めている。後述するように、情報欄削除は同省の仕業なのだが、次官補は事情を知らなかった。
ホワイトハウスの指令により、この日から新型コロナ情報はCDCではなく、保健・・・