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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》コロナ「日本モデル」

単なる幸運「幻想」の世界

2020年7月号


 政府の新型コロナウイルス対策は誰の目にも後手後手の泥縄式に映ったにもかかわらず、安倍晋三首相は恥じらうことなく、我が国は「日本モデル」によって感染拡大を封じ込めたと高らかに自画自賛した。首相が言う「日本モデル」とは何か。その虚構の実相を明らかにしていこう。
 政府が強調する「成果」は死者が少ないことだ。五月十四日の記者会見では、「我が国の人口あたりの感染者数や死亡者数は、G7、主要先進国の中でも圧倒的に少なく抑え込むことができている。これは数字上明らかな客観的事実です」と声を大にした。しかし、これは単なる幸運の連鎖を、日本(政府)の実力と勘違いしているに過ぎない。都市封鎖など強い制限を課さずに感染を抑制できた理由は、当の首相を含め、合理的な説明をできる者はいない。その一方で、少なくはない「被害者」が出たことは紛れもない事実なのだが、彼らの存在が顧みられることはない。

「死者数は少ない」は本当なのか

 そもそも、安倍首相の話は前提が間違っている。日本は死者や感染者を「圧倒的に少なく抑え込・・・