緊急事態宣言が解除され、日常を取り戻そうという試みがそこかしこで行われているが、大学や研究機関も例外ではない。理化学研究所では宣言解除後に、新型コロナウイルス対策を徹底した上で、段階的に研究活動を再開している。その他機関も手探り状態が続くが、国際共同研究の一部では再開のめどが立たないものもある。
　一方で、医学分野以外でコロナ禍の下でも研究活動の停滞が少ないのがコンピュータの分野である。各種シミュレーションなどを行う場合でも、研究者が濃厚接触せずに実施することが可能な分野であり、この間も他の領域と比較して恵まれた状況にある。また、新型コロナウイルスの実態解明や治療薬開発についても、コンピュータが果たす役割に期待が集まっていることにも注目すべきだろう。
　分散コンピューティング―。ネットワークで繋がった複数のコンピュータが並列に計算を行うもので、一台一台の処理能力が低くても、繋がることで超高速に膨大な演算を行うことができるシステムのことだ。有名なのは「素数探し」に活用されていたことだろう。暗号システムなどでも必要になる巨大な素数は、地道な作業でしかみつからない。古代・・・