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社会・文化

農政を牛耳る畜産「新利権構造」

補助金はコメから「肉」中心に

2020年7月号

 種苗法改正、お肉券、放牧中止―。今春以降、農業関連政策が次々と見送られ、「官僚の劣化が著しい」(農林水産省キャリアOB)と先輩たちを嘆かせている。背景には、畜産分野に影響力のある政治家、つまり畜産族の露骨な利益誘導と、それに迎合する官僚や農業団体の新たな「トライアングル」(三角関係)がある。
 本誌が「優良品種の海外流出は国内法の改正では防げない」(二月号)と指摘した種苗法の改正案は、真の狙いが種苗開発の民営化加速であるという懸念が高まり、六月十七日に閉幕した通常国会で野党は「農家の負担が増える」などと批判、成立を見送り継続審議となった。繰り返しになるので詳述を避けるが、育成者の権利を守るには、海外の各国で種苗登録するのが唯一の実効性のある対策だ。
「お肉券」は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う高級食材の販売不振対策として、自民党主導で浮上した。使途を和牛など畜産物の購入に限定した商品券を配布して家庭での消費を促し、積み上がった在庫を処理するのが狙いだった。四月末に成立した二〇二〇年度第一次補正予算に盛り込む方向で検討されていたが、「何を考えているのでしょうかね・・・