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経済

経済再生の足かせ「ゾンビ中小企業」

「公金で延命」は政治の大罪

2020年7月号

 政府の中小企業向け新型コロナ対策は持続化給付金の業務委託先の「中抜き・丸投げ」問題ばかりが注目され、中身や効果の検証はほとんどされていない。
 中身をみれば倒産回避のバラマキで、産業政策はおろか中小企業育成策にもなっていない。コロナ感染を機に日本は「ゾンビ中小企業の楽園」になりかねない状況だ。
 少子高齢化のなかで存在意義を失った中小企業の退出を促し、新しい産業の担い手となる中小企業の救済に軸足を移すことこそ安倍晋三政権が取り組む日本経済再生策のはずだ。
「感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため」。これが安倍政権肝いりで経済産業省がホームページでうたう「持続化給付金」の理由づけだ。確かに、健全に事業を営み、成長過程にあった中小企業が感染症による想定外の売り上げ減に直面し、ここを給付金で持ちこたえれば、未来が開けるというのなら、経済産業省の文言通りの意味があるだろう。
 だが、日本全体で三百五十七万社(二〇一六年、中小企業庁統計)、税法ベースで六百五十万社にものぼる中小企業のうち、感染・・・