三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

解散できない安倍の「ロスタイム」

終幕シナリオ描けぬ「漂流官邸」

2020年7月号

 永田町で「解散風」という妖怪や幽霊が徘徊している。発信源は「伝家の宝刀」を持つ安倍晋三首相。六月十八日の記者会見や二十日のインターネット番組で幾度となく言及した。十九日に副総理兼財務相麻生太郎、官房長官菅義偉、税制調査会長甘利明の三人と会食したのも風を強めた。第二次政権発足時の中心メンバー四人が揃うのは、自民党が東京都議選で大敗を喫した二〇一七年七月二日以来だ。当時は都議選後も四人で結束し経済優先の政権運営をすることを確認。その後、八月に内閣改造・党役員人事を実施し、九月に衆院解散に踏み切り、十月の衆院選で圧勝した経緯がある。
 自民党幹部からも解散を示唆する発言が相次ぎ、早期解散論者の麻生率いる麻生派が、他派閥が九月以降に予定する政治資金パーティーを七月十六日に開催すると決定。永田町では「十月十三日公示、二十五日投開票」などの具体的な日程が飛び交う。
 前法相の河井克行、妻の案里参院議員が公選法違反で逮捕された後も、安倍は「持続化給付金や雇用調整助成金が行き渡れば、雰囲気も変わる」と語り、強気の姿勢を崩さない。
 虚勢は焦りの裏返し―。安倍が解散した過・・・