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日韓関係「相互憎悪」が再過熱

徴用工問題で「破局」の瀬戸際

2020年7月号

 日本政府が、韓国に対して半導体製造に必要なフッ化水素など三品目の輸出管理厳格化措置を発動して七月四日で一年となる。韓国政府は、厳格化措置の早期解除を求めて日本に対する圧力を強めている。日本が厳格化措置を取る遠因となった徴用工問題の解決をめぐっては、韓国の裁判所が、賠償に充てる日本企業の資産を「現金化」する手続きを進めている。現金化命令が出されれば、日本は報復措置を取る構えだ。日韓が破局を回避できるかどうか、正念場に来ている。
 今後のシナリオは、大別して二つある。
 一つ目は、穏便解決の道だ。
 日韓が現金化を避けるため、二〇一八年十月以降、韓国大法院(最高裁)で日本企業に対する賠償命令を勝ち取った原告を含め、元徴用工を救済する枠組み作りで合意し、これと同時に輸出管理厳格化措置を解除するシナリオだ。韓国は、厳格化措置に関する世界貿易機関(WTO)への提訴を取り下げ、昨年十一月以降破棄通知の効力が停止されている日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)にも完全復帰する。日韓関係が極度に悪化した一八年十月の大法院判決以前の状態に戻る。

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