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連載

新大学評判記 第6話

「九月入学」を拒む時代錯誤の教育界

2020年6月号

 日本の教育現場が戦後最大の激震に見舞われている。「九月入学」への移行という大波である。四月に満開の桜とともに一斉に入学し、春を待つ三月に卒業するという日本的ルーティンを変えようというだけに小学校から大学まで大騒ぎとなっている。戦後、繰り返し検討され、見送られてきた九月入学論が今回、特別な重みを持っているのは、新型コロナウイルス感染で新学期の開講が遅れている学校現場が救済策として欲し、現実的な解としてみているからだ。予想だにしなかった「コロナ外圧」を利用しない限り、日本では九月入学は永久に実現しないだろう。
 九月入学への移行論は、タイトルは同じでも立場によって語っている話がまったく別物という特徴がある。文部科学省が五月十九日に発表した「九月入学の二案」は小学校の新入学児童の話であり、第二案では五年かけて移行するという迂遠なアイデアである。一方、自由民主党がワーキングチーム(WT)を設け、教育関係者を巻き込んで議論しているのは主に大学の九月入学である。小学校の入学時期はもちろん中学校、高校とつながったうえで大学に影響してくるものの、大学側は欧米の「ギャップイヤー(高校卒業後、・・・