抗原検査で脚光 「みらかHD」の来歴
「売血」ビジネスの暗い過去
2020年6月号
国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された一月十六日から四カ月半。全土を未曽有の恐怖と経済危機に陥れたパンデミックはようやく収束への道をたどりつつあるが、第二波・第三波の襲来に対する人々の警戒感は根強く、また一方で「コロナ商戦」もなお“花盛り”だ。
そんな中、治療薬候補「アビガン」を開発した富士フイルムホールディングス(HD)などとともに市場で個人投資家らの注目を集め続けているのが、みらかHDだ。傘下に臨床検査薬大手の富士レビオと、受託臨床検査首位のエスアールエル(SRL)という二つの中核事業子会社を持ち、二〇二〇年三月期で売上高一千八百八十七億円余(前期比四%増)。医師ら医療関係者の間ではよく知られた存在だったものの、個人投資家らには馴染みの薄い銘柄だった。それが一連のコロナ商戦で「何度も主役級の大立ち回りを演じた」(市場関係者)のである。
「商業血液銀行」の一つ
その名が一躍脚光を浴びる形となったのは二月十二日のことだった。きっかけはSRLによる・・・