「三月以降の経済的・財政的ショックによる家計及び企業のバランスシートへの負担は、継続的な脆弱性を生み出す可能性が高い」。米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）は、五月十五日に発表した金融安定報告書で、新型コロナショックの余波について警告した。しかし、ＮＹダウは三月二十三日に一万八千二百十三ドルの安値をつけて以降上昇に転じ、四月十七日には二万四千ドル台を回復した。反発してきた背景には何があるか。
　米トランプ大統領は五月十八日、同国バイオ大手「モデルナ」による新型コロナワクチン開発について「我々は、途方もない治療法、ワクチンについての途方もなく良い、前向きな情報を得た。（中略）そして、市場は非常に大きく上昇しており、皆はＶ字をみることになると思う」と述べた。この日のＮＹダウは前週末比三・九％上昇して終えた。コロナショック後の株式市場反発の背景には、この①ワクチン開発への期待のほか、②ＩＴ株のＶ字反発③新たな買い手の登場④前例のない強力な金融・財政政策―という四つの要素があった。それぞれ見ていこう。

ワクチン開発が最重要ファクター・・・