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中国「覇権国家」への妄想

無謀な「膨張戦略」が招く自滅

2020年6月号

 習近平政権の対外攻勢が激化してきた。南シナ海、尖閣諸島周辺での威嚇行動はもちろん新型コロナウイルス感染の医療支援を通じた途上国への浸透、世界保健機関(WHO)をめぐる米国との衝突などグローバル覇権への野心を隠さない行動が目立つ。国内ではいち早く経済活動を再開、「V字」回復をアピールし、もたつく日欧米との違いを強調する。だが、現実は国民への直接給付も有効な需要創出策もない。「民を犠牲に、外に覇を求める」(中国の経済学者)身の丈を越えた膨張政策は大きなリスクを内包している。

「国民の窮状を知れ!」

「中国人好みの『Wagyu(和牛)』をつくりあげたのに」。豪州のクイーンズランド州の畜産農家から悲鳴があがっている。五月十二日、中国政府がクイーンズランド州など、四カ所の大手食肉処理場が扱う牛肉の輸入を全面禁止したからだ。中国政府は「食品検疫上の問題が発見されたため」としか理由を示さないが、「豪政府がコロナウイルスの発生源について独立した調査を要求したことへの報復」と中国のメディア関係者すら認めている。
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