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サウジ皇太子「恐怖支配」が加速

「後ろ盾」米政権は黒いカネで懐柔

2020年6月号

 サウジアラビアの事実上の支配者、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(略称MBS)の暴走が止まらない。
 原油価格大暴落で自身の権力基盤が揺らぐ中、ムハンマド・ビン・ナーイフ前皇太子ら有力王族を収監して、サウジでさえ過去に例のない弾圧に発展している。
 一方で、金欠なのに、米国から高額な武器を買いまくり、ドナルド・トランプ大統領の歓心を繋ぎとめるのに躍起である。
 前皇太子について「危篤」「死亡」の情報がツイッター上に飛び交ったのは、日本がゴールデン・ウィーク中の五月上旬だった。六十歳の前皇太子は、今年三月、他の二十人ほどの王族や高官とともに拘束された。
 問題のツイートは、「心臓発作。集中治療室に入る」と短く伝えるものだったが、少し後に「このアカウントはハッキングされた。今は正常に戻った」という意味不明なツイート(おそらく偽物)が流れた。
 前皇太子は長く内相を務め、流ちょうな英語と中東情勢への深い識見で、米欧日に太いパイプを誇った。アブドルアジズ前国王死去の後、二〇一五年に皇太子となったが、二年後に解任され、MBSに取って代わられた。・・・