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WORLD

感染症に弱すぎた「BRICS」

「社会的不平等」こそ疫病の温床

2020年6月号

 中国、インド、ブラジル、ロシア、南アフリカで構成する「BRICS」が、新型コロナウイルス感染で総崩れ状態だ。感染源となった中国を追うように、ブラジルとロシアの感染者数が五月に三十五万人を超え、米国に次ぐ世界二、三位を争う。インド、南アも貧困層の悲惨なニュースが絶えない。
 新興五カ国は経済再建でも、日米欧のG7に比べて、苦戦する見通しだ。世界経済の「主役交代」どころか、感染長期化や社会・政治不安の増大、経済不安定で、経済回復の阻害要因になりそうだ。
 日本が首都圏でも「緊急事態宣言解除」に近づいていた五月下旬。
 ブラジルのサンパウロやリオデジャネイロの集合住宅地区では、バルコニーに出た市民から「ジャイル・ボルソナロ(大統領)、辞めろ」の大合唱が響き渡っていた。
 大都市にある貧困地区ファベーラでは、食料供給を求める散発的なデモが続いた。住民たちのあまりに切羽詰まった様子に、警官隊も本格介入を避けた。ファベーラは、粗悪な住宅が密集したブラジル特有の貧民街で、新型コロナウイルス感染も猖獗をきわめている。厳しい外出規制で困窮し、最低限の食料も得られ・・・