《企業研究》全日空
「コロナ破綻」の瀬戸際
2020年5月号
瞬間蒸発―。新型コロナウイルスの世界的な蔓延で航空業界から瞬時にして需要が消えた。その衝撃に、なかでも屋台骨を大きく揺さぶられているのが業界首位のANAホールディングス(HD)だ。
今春の羽田空港の発着枠拡大を受け、国際線の新路線開設・増便や航空機材の新導入、さらにはパイロットをはじめとした人材大量採用など多額の先行投資で攻勢に打って出たところに「いきなり強烈なカウンターパンチを見舞われる形」(事情通)となったためだ。
「まさに直撃弾。このまま開店休業の状態が続くようならJAL(日本航空)と同じ運命をたどる危険性だってなしとしない」。傘下の中核事業会社、全日本空輸(ANA)幹部はこう呻いてがっくり肩を落とす。
リーマンショックによる世界金融危機の余燼燻る二〇一〇年一月、かねて財務劣化が取り沙汰されていたJALは約二・三兆円の負債を抱えて東京地裁に会社更生法の適用を申請、経営破綻した。その二の舞を演じる可能性さえちらつきはじめたというわけだ。
赤字はどこまで膨張するのか
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