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経済

日本製造業「コロナ後」再生の道

脱中国で「国産回帰」の好機

2020年5月号

 新型コロナウイルスは世界経済を収縮させ、国際通貨基金(IMF)は今年の世界経済の成長率を「マイナス三%」と予測した。現実はより厳しいものになるだろう。なかでも落ち込みの激しい製造業はグローバルな産業構造の転換に向かう可能性が高い。中国や新興国から先進国への生産拠点回帰の動きだ。中国依存リスクの軽減に加え、自国に製造業を戻し、一気にデジタル化を進め、経済再生につなげる。日本には自国メーカーの工場回帰に加え、生産インフラを武器にアジアから製造業を吸引する「工場インバウンド」のチャンスが到来するだろう。
「去中国化」という用語が三月以降、中国の経済学者、政府関係者のなかでブームのように使われている。日本語で言えば「脱中国化」である。つまり、グローバル企業が中国から逃げ出し、「世界の工場」としての中国の基盤が大きく揺らぐという懸念である。
 コロナ禍で、一月下旬以降、中国にある日本、台湾、韓国、米国、ドイツなどのメーカーの工場は長期間の休業を迫られ、三月後半以降、順次、再開しているものの、内需と外需が同時に深刻な不振に陥っているため、生産水準は低迷している。中国政府の景気・・・